人の幸せに関しては色々な種類があるかと思いますが、ひとつのくくり方として「快楽」と「充足感」に分けることができます。
「快楽」はイメージがしやすいと思いますが、自分自身の感覚的な欲求に対して、自身が快適に過ごせている状況と言えます。瞬間的に体験できる一方、持続性がありません。例えば温泉好きな人が湯に浸かってリラックスしている時のようなものです。
一方、「充足感」は自分の持ちうる特技や強みを利用することにより、得られるものです。多くは自分以外の誰かのためにしたことが、例えば感謝というような形で返ってきた時に感じるものです。例えば、道を歩く荷物を持ったお年寄りのため、自分が替わりに荷物を目的地までもっていって感謝されるようなものです。
これは組織の中でも同じことが言えます。
大きくいってしまえば、利己的(=快楽)か利他的(=充足感)かの違いになります。どんな組織であっても完全にどちらかだけということはないのですが、問題を抱えている組織は、職位の上下に関わらず、かなり利己的寄りの視点に陥っているケースが多いのではないでしょうか?
つまり自分の都合の良い環境の維持に執着するケースです。
この考え方は組織改革や新たな施策導入の上で障害になってしまいます。
一人一人に利己的である快楽側面が全くないのはあり得ませんが、快楽を満たしつつも、利他的な充足感を感じられる方向に全体が目を向けられる環境作りは、成長する組織にとってはマストな要素です。
例えば、部下に対する権限の付与は、自由と共に責任を引き渡すことになるので、部下からすれば、受け身から主体的な目線に切り替える必要があります。何か起こった時は組織の責任=自分の責任となりますが、同時に自己裁量で物事を動かすことができるため、やり遂げた際には、自信につながり充足感を得やすくなります。
充足感を感じられる仕組みづくり、これはどんな組織にとっても長期的な目線で取り組まなければならない課題の一つです。